タイトル通り、不定期更新のブログです。 気が向いたとき、更新すると思います。 内容としては、オンラインゲーム「トリックスター」「ラテール」などを中心とさせて頂いております。(時々日常のことなども書くかもです)

れあちーのきまぐれにっき

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05 地図に秘められた謎

  1. 2008/06/17(火) 21:37:16|
  2. 冒険者で20のお題
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……久々に小説の投稿ですよっと。


制作活動に明け暮れると、知り合いの方に迷惑をかける事になるとわかっていても、私はそれでも、物語を書き続けていたい。


迷惑をかけ続ける私を、どうか、許して下さい……













05 地図に秘められた謎




「ぷはー、生き返るのだー」
しゅわしゅわと喉を通り抜ける感覚に、満足したような声を上げて、シーは炭酸ジュースを飲み干した。
おいおい、それは酒とかを飲んだ時の親父の反応じゃないのか。
幸せそうに笑うシーの姿に苦笑を浮かべながら、俺は目の前の料理にフォークを突きさした。
通りを行き交う人々の雑踏が木霊するオープンカフェ。俺達は、そんな店の一角で本日の昼食を取っていた。
今日もいつもと同じく、アステカ近郊でシーの訓練を兼ねて、簡単な討伐依頼をこなしていた。
戦う術は一朝一夕で身に付くものではない。何度も何度も、同じ事を繰り返して、身体が動きを覚え込み、自然な動作となるまで。その為には数をこなし、経験を積んでいくしかない。
俺もそうやって、姉に鍛えられたのだ。
……ふと姉との地獄のような訓練が脳裏によみがえり、俺は慌ててそれを打ち消すように頭を振った。
思い出したくない事もいっぱいあるのだ。あの人、さりげなく、鬼だからな……
ぶるりと身をすくめた俺の様子に、ぱくぱくと料理を口に運んでいたシーが不思議そうな顔を向けてきた。
あんまり追求はされたくないので、何でもないと手を振ってごまかした。
……それにしても、こいつ、よく食うよな……
目の前でどんどんと積み上げられていく皿の数を一瞥しながら、そんな今更な事を心の中で呟いてみた。
数えただけで、既に5、6枚は皿が重ねられているぞ。
ちなみに、全て主食とする料理だったはずだ。
あの細い身体のどこにそれだけの食べ物が入るというのだろう。ひょいひょいと、何の造作もなく、大量の食物がシーの体の中へと入っていく様はある意味、すごい光景だよな。
俺はシーの食欲に圧倒されながら、食後の珈琲に口を付けた。
何かもう、こっちは見てるだけでお腹いっぱいだよ。
まぁ、ホントに幸せそうに食うから、見ていて不快には思わないが。
「ラフィにーちゃってさ、小食だよねー」
「……あ?」
唐突にかけられたその言葉に、俺は素っ頓狂な声を上げてしまった。
休むことなく食べ続けていたシーが、不意にそんな事を言うものだから、間抜けな声を出しちゃったじゃないか。
どうやら、俺の皿に料理がまだ残っているのを目敏く見つけたらしく、大きな瞳で残したら勿体ないよと訴えてくる。
まぁ、確かに今回は残そうとしてたけど、普段はもう少し食べる……と思うな。
だが、平気で5人前、6人前を平らげる奴に比べたら、小食に見えるのかもしれないが。
「お、俺は至って普通だぞ?」
「えー、嘘!絶対小食だよー」
だって、リヒャにーちゃはもっと食べるもん。そう言葉を続けながら、シーは俺を小食だと断言する。むむむ、おかしいなぁ。小食の自覚はなかったんだが…
「にーちゃといつも食べ比べすると、シーはいつも負けちゃうんだー。にーちゃは食いしん坊なんだ」
にへらっと、兄を思い浮かべたのか、少し誇らしげな顔でシーは語る。
……おいおい、シーよりも食うって、相当だぞ。前言撤回、俺は小食じゃない!
この兄妹がおかしいのだ。本人達は至ってその自覚はないようだが。
だが、それにしても、兄妹揃って大食いとは……さぞかし二人分の食費は恐ろしい事になっているのだろう。それをまかなっている彼女たちの母、槙宮に僅かに同情の念を抱いた。
……これで、槙宮も大食いだったら、どんだけ食費がかかるんだろうな…
更に恐ろしい考えが頭をよぎり、俺は苦笑が浮かべながら、その考えを打ち消すように視線を通りの方へと投げた。
「…………あれ?」
人通りの多い通りを見下ろした俺だが、ふっと何やら見覚えのある人影を見つけた。
金色の髪に見え隠れする小さな角を持ち、見覚えるのある大剣を背負ったその影は、先程俺達が噂をしたシーの兄、リヒャルトの容姿そのままだった。
「あえ?にーちゃらー」
どうやら俺の視線の先に気がついたらしいシーは、もごもごと口の中に食べ物を入れたままの状態で声を上げる。無理に喋るものだから、舌足らずな響きになっている。
こらこら、汚いから食べてから喋れ。
ごっくんと食べ物を飲み下し、シーは慌てて椅子から立ち上がった。何をするつもりなのか見守っていると、
「にーーーーちゃーーーー」
シーは両手を大きく空に掲げ、リヒャルトに向かって大声で呼びかけた。
通りの人々が何事かとこちらを見てくる。
大声を出した本人は至って気にしていないのか、平然とした様子で目的の人物を見ている。
呼ばれた当の本人は、聞き覚えのある声に辺りを見回し、両手を振っているシーの姿に気がついた。
澄んだ青い瞳がシーの姿を捕らえ、嬉しそうに細められる。
みるみるうちに顔に笑顔を綻ばせ、手を振り返してくる。
……久々の妹の姿に、心底嬉しそうな顔を浮かべているその様子に、兄馬鹿だなーっと、常々思っている事が頭をよぎっていく。
まぁ、俺も姉には頭が上がらないが、あいつは俺以上のシスコンだと思う。
と、リヒャルトは隣にいた女性に何事かを説明しているようだ。
あいつが女連れとは……しかし、見た限り、その隣の女性は身重のようだった。
ぱっと見ただけでは、分かりにくい程なので、5、6ヶ月程だろうと思う。
……まさか、あいつの子か…?
なんて馬鹿な考えが浮かんでくるが、あいつに限ってそれはないな。
それに、あいつはまだここに来て一年も経ってないはずだから、時間的に無理だろう。
まぁ、妥当な線で依頼主、という所じゃないのかな。
何事か説明が終わったのか、リヒャルトとその女性は、どうやらこちらにやってくるようだ。
また厄介な問題でも起きなければいいけどな。
俺はその様子を眺めながら、珈琲を口に含んだ。







「にーちゃ久しぶりなのだー」
えへへーっと、シーが久々の兄に抱きついている。
それにリヒャルトも顔をほころばせ、シーの頭を撫でなでしている。
まぁ、仲がよろしい事で、微笑ましいんだがな。
「元気そうで何よりだよ、シー。ラフィオに変な事されてないよな?」
……変な事ってなんですか。
本人を目の前にして、よくもまぁ、そんな事が言えるもんだ。
「ラフィにーちゃには色々助けられてるよー」
「そかそか。もっとこき使ってやるんだぞー」
「うんー」
…………こき使われるのか、俺。
こいつ、ホントは俺の事嫌いなんだろ。
にこにこと、そんな事を話しているリヒャルトの姿に、俺は頬杖を付きながら、あきれたような視線を送ってやった。
まぁ、歳も近い分、親近感みたいなものはあるけどな。
だけど、時々俺に小さな不幸を送りつけていく辺り、嫌われてんのかなーっとも思う。
シーの護衛を受ける時も、猛反対したしな、こいつ。
まぁ、それだけシーが大切なんだろうな。
「……で、リヒャ。こちらの女性は?」
俺の隣で紅茶を飲んでいる猫族の女性を伺いながら、リヒャルトに問いかける。
それに、ようやく本題を思い出したのか、リヒャルトは女性の方を見た。
「ああ、すみませんでした。サリアさん。久々に妹と再会したんで、舞い上がっちゃって」
「いえいえ、いいんですよ。微笑ましい光景に和ませて頂いてましたから」
リヒャルトの謝罪に、サリアと呼ばれたその女性はくすくすと、物腰優しそうな雰囲気で穏やかに笑っている。
なかなか、おしとやかな人のようだ。
時々、膨らんだお腹を撫でながら、優しそうな瞳を浮かべている。
これから母親となる女性は、みんなこんなに優しい瞳をするのだろうか…
「俺の妹のシーと、その召使いのラフィオです」
「……誰が召使いだ」
「似たようなもんだろ?」
「……リヒャ、あとで覚えてろよ」
俺の言葉に、リヒャルトは素知らぬ顔で話を続けた。
「この人はサリアさんだ。俺の依頼主で、今、アステカで宝探しをしてる」
「……宝探し?」
リヒャルトの言葉に、シーがきょとんとした表情を浮かべる。それにリヒャルトは一度サリアへと視線を向けてから、鞄から地図を取り出した。
どうやら、この街の地図のようだ。
所々に、印が付けられている。
これがいったい何なのか、俺は更に説明を求めるようにリヒャルトを見た。
「……サリアさんの恋人がこのアステカの街の中に、ある物を隠したらしいんだ。それが何なのか、俺もサリアさんも知らされてはいない。で、身重な彼女だけでは大変だという事で、それを探す手伝いをしているんだ」
なるほど、それで宝探し……という事か。
「……あの人はこの街が大好きで、街の全てを把握していました。……この街の至る所に、チェックポイントを作ったみたいで、そのポイントに行くと次の場所のヒントが出てくるのです」
かさりと、何枚ものメモ用紙がサリアの鞄の中から取り出される。
それにざっと目を通すと、その場所の特徴のような物が謎かけのような文章で記されていた。
確かに、地図と既に見つけたチェックポイントの箇所を見ると、その内容が一致している。
「大体は回ったんだけど、それらしい物がまだ見つからなくてね……」
既にチェックポイントが十数カ所も書き込まれている。相当な数があるようだが、まだ宝とやらは見つからないのか。
どれだけチェックポイントを作ったんだよ、その人は。
「だけど、次のポイントが見当もつかなくてな……」
困ってた所だったんですよ、とサリアが苦笑を浮かべた。
「次のポイントのヒントとかはないの?」
シーも興味津々な様子で、サリアを見る。それにサリアはメモ用紙の中から、一枚の紙を取りだした。
“休日の午後は穏やかな一時を。日溜まりの中で子猫が笑う”
……なんだこれ?場所の説明なのか?
俺は意味不明な文章に目を点にした。
どうやら、リヒャルトもサリアも、この場所に心当たりがないようで、調査が行き詰まっていたらしい。
「あー、シー、これがどこだかわかったかも」
と、唐突にシーがそんな事を口にする。
それに俺達はきょとんとしてシーを見た。それにシーはえへへーっと笑いながら、自慢げに胸を張って見せた。
「まぁ、とりあえず行ってみるか。間違ってたらまた考えればいいし」
「あー、シーの事信用してないなー」
そう言って立ち上がった俺に向かって、ぷくーっとほっぺたを膨らませてシーがむくれた。
べ、別に信用してない訳じゃないが、何となく疑ってしまうだけだ。
「…でも、お二人のご予定は大丈夫なんですか?」
立ち上がった俺を見上げて、サリアが気遣うような表情でそう問いかけてくる。
それに俺はひらりと手を振って、
「大丈夫、大丈夫。予定なんて、あってもないようなものだから」
と、あははと軽く肩をすくめて笑ってみせた。その様子に安心したのか、サリアも椅子から立ち上がった。
まぁ、乗りかかってしまった船だ。最後までつき合ってみるのも悪くない。
それに、あんまり訓練ばっかりしていても、シーにとってはあまり好ましくないしな。
たまには息抜きも必要だ。
本日の訓練は打ち切り、リヒャルト達の手伝いをする事に決めて、俺達はシーが思い浮かべた場所に行ってみる事にしたのだった。






「にゃー、にゃー、にゃー」
「にー、にー、にー」
「なーーーごーーーーー」
…………うわ、ホントに猫ばっかだ、この場所。
シーに案内された場所にたどり着いた俺達は、目の前に広がった光景に唖然とした。
家と家の間を通り抜け、裏道の奥にこじんまりと作られた小さな広場。石畳で敷き詰められたアステカには珍しい芝生が生い茂るそこは、猫たちの溜まり場となっている。
にゃーにゃーと、そこら中から猫の鳴き声がする。
亜人種ではないその猫たちは、気の赴くままに日当たりの良い広場でひなたぼっこをしているようだ。
「ね?猫ちゃん達がいっぱいるでしょー」
どうだと言わんばかりに、俺達を案内してきたシーはえっへんと胸を張って見せた。
しかし、こんな所をよく見つけたものだ。
民家の間や建物の間を通らないとたどり着けない場所なのに、アステカに来て間もないはずのシーがこんな所を見つけていようとは……
「この間、猫ちゃんがいたから、追いかけたんだ。そしたらここに出たんだー」
俺の疑問そうな視線に気がついたのか、シーはここを知った経緯を話してくれる。
なるほど、そう言う事か。
「確かに、猫はいるし、ひなたぼっこにも最適そうだが……肝心のヒントはあるのか?」
俺はきょろりと辺りを見回しながら、本来の目的を探す。それにリヒャルトとサリアも辺りを見回し、それらしい物を探し始めた。
芝生のあちこちに猫たちがいるから、歩きづらいな。
動こうとする度、足下をちょろちょろする猫たちを踏まないよう、細心の注意を払いながら、辺りを探す。
これだけ接近しても、逃げない辺り、人に慣れた猫たちなのかな。
「あ、ありましたー」
と、猫たちの観察にかまけてる間に、どうやらサリアが目的の物を見つけたらしい。
どうやら、建物の壁の一部に細工が施されて、その中に入っていたらしい。
やはり、ここはシーの予想した通り、チェックポイントだったようだ。
「やっぱり正解だったのだー。えっへん」
「あー、はいはい。偉い、偉い」
「えへへー」
どうだと言わんばかりに、得意げな顔でふんぞり返るシーの頭を撫でてやりながら、俺達はサリアの元へ歩み寄り、その紙面を確認した。
またしても、次の場所のヒントが記されているようだ。
「……どれだけ、チェックポイント作ったんだよ、この人は…」
リヒャルトのぼやきに、ただ苦笑を返す。
「ま、最後までつき合ってやるからさ。次行ってみるか」
ぽんっとリヒャルトの肩を叩きながら、次のチェックポイントを予想する為、サリアからヒントを受け取った。
……だが、その瞬間、ぞくりとする視線を感じ、俺は視線を感じた方向を振り返った。
しかし、そこは猫たちがひなたぼっこをする穏やかな景色が広がるだけで、怪しい影を見つける事が出来なかった。
俺が感づいた事を察知したのか、振り返った瞬間には殺気にも似たその視線は跡形もなく消えていた。その所為で、位置を特定する事が出来なかった。
「……どうした?ラフィ」
俺の不審な行動に、リヒャルトが怪訝そうな顔を向けてくる。シーとサリアもまた、きょとんとした顔を向けてくる。
「……何でもないよ」
俺は何事もなかったように、苦笑を浮かべ、ひらりと手を振った。
……もし、何かあった場合、リヒャルトは良くても、サリアとシーは巻き込む訳にはいかない。それに、今のは俺にだけ向けられた殺気のようだった。
リヒャルトすら気づかなかったのだ。標的は俺だけなのだろう。
何か、厄介な者に目をつけられたのかもしれないな。
とりあえず、今は襲ってくる気はないようなので、このまま、黙っているしかない。
3人に感づかれないよう、張りつめた空気を追い払いながら、手元の紙に意識を集中した。







「……まさか、この位置で気づくとはな…」
俺達がいる広場から死角となる位置に、その男はいた。
漆黒の髪を持ち、顔に傷のある狸族のその男は、俺に存在を悟られた事に顔をしかめ、小さく舌打ちをした。
相手に察知されない位置であると目測していたのだが、相手の反応はそれを上回っていたという事だ。
一筋縄ではいかない相手のようだと、男は認識を改めた。
「……流石に、冒険者としては一流、か。…で、あいつの事は何か分かったのか?」
男は半歩後ろに控えている黒髪の獅子男をちらりと振り返りながら、問いかけた。
それに獅子男は冷や汗を掻きながら、自分が手に入れてきた情報を男に披露すべく、黒革の手帳を取り出した。
この男の機嫌は変わりやすい。いつ、鞭が飛んでくるか分からない恐怖に獅子男はいつも悩まされているらしい。
「えっとですね……本名、ラフィオ・アズラエル。ここ、カバリア島にやってきたのは一年と半年程前ですね。まぁ、兎の耳なんかつけてやがりますが、獅子族です。同じく島に兎の姉がいるらしいですが、こっちは情報がつかめませんでした。冒険者としての能力はSランクの部類に入りますね……主な武器は長銃で、長距離射撃を得意としているようです。最近では、知り合いの娘を預かって冒険者として教育している……という事くらいですね」
獅子男の報告に、男はふむと、小さく呟いた。
Sランクの冒険者となると、相当な手練れという事だ。
カバリア島では数多くの冒険者が存在する。その為、その能力によってランク分けがされている。それによって、依頼などを受ける際の偽装や事故防止等、様々な弊害を少なくしているのだ。ランク制をもうける事で、島の冒険者の情報をメガロカンパニーで全て管理できているという訳だ。
それぞれ、ランクは上からSS、S、A、B、Cと五段階に分かれている。
やはり、ランクが高ければ高い程、依頼料も増えるし、受けられる依頼も増える。
名が売れてくれば指名される事もある程だ。
その為、ランクアップを狙っている者は数多くいる。
年に数度、上位ランクへ昇格する為の試験があり、上級冒険者の称号を手に入れようとする者は後を絶たない。
まぁ、順当にやっていれば、Sランクまでは早いのだが。
SSランクだけは別次元で、SSと認定された者は一握りしかいないそうだ。
「……まぁ、ランクがどうであれ、実際の実力を計らねぇとなぁ。……あいつらは来てるのか?」
男の言葉に、一瞬、慌てたように獅子男が辺りを見回した。神出鬼没の彼らをまとめ上げる事は獅子男には不可能なのだ。
もし、彼らが来ていなければ男の鞭が飛ぶかもしれない。嫌な汗が背中を伝うのを感じた獅子男だったが、それはどうやら杞憂だったようだ。
「……レヴィン様、我らはここに…」
すっと、どこからともなくその場に現れたのは、二つの小さな影。
狐族独特の大きな耳とふさふさしたしっぽを持った、少年と少女がレヴィンと呼ばれた男の前に服従するかのように跪いた。
「来たか。レイ、ルイ」
レヴィンは満足した様子で、少年達を見下ろした。
どうやら、この少年達は双子のようで、同じ顔立ちをしている。
「……レヴィン様のご命令とあれば、何なりと」
表情のない顔を上げて、ルイと呼ばれた少年は命令を待つようにレヴィンを見上げる。
それにレヴィンはくいっと、標的を見せるように彼らの視線を誘導した。
「……お前らにやって貰いたい事は……」
レヴィンは口元に残忍な笑みを浮かべて、彼らに指示を出した。
従順な双子は、その言葉を実行する為、音もなく二人の前から姿を消した。
その様子に、レヴィンは満足げな笑みを浮かべて、くくくと喉の奥で笑ったのだった。








「ふー、なかなか、見つからないねー、たからものー」
ぐでーんとテーブルに突っ伏して、シーがぼやいた。
あれから、既に5、6箇所、チェックポイントを回ったが、それらしいものは見あたらなかった。
おまけに、最後の場所で見つけたヒントには、ここで終わり、とはっきりと記されていた。
最後のヒントには、地図に全ての答えが隠されている、と、そんな内容が書かれている。
とりあえず、街の中を探索するのは終了し、最初のカフェに戻って、地図と睨めっこをする羽目となったのだった。
「うーーーーーん………地図に答えがあるって、どういう事だ…?」
地図を広げて、目を皿にしてリヒャルトが唸った。サリアも隣から地図を覗いているが、形の良い眉を寄せて、分からないとしかめている。
俺も見させてもらったが、見当がつかない。ちらりと近くにあった最後のヒントを手に取りながら、その文章を流し読む。
“星を巡る旅はここで終わり。全ての答えは地図の中”
また謎かけのようなこの文章に、はぁと小さく溜息が漏れた。
こういう小賢しい事に頭を使うのは、あまり得意ではない。それはリヒャルトも同じだろう。
こんな時、頭の回転の速い槙宮あたりがいてくれると楽なんだがな……
まぁ、いない者に頼ってもしょうがない事だが。
逃避しようとする思考を無理に引き戻しながら、俺は手元にあったジュースに口を付けた。
「…………………」
「…………ん?どうした、シー?」
と、何やら、目の前に座っているシーの様子がおかしい事に気がついた俺は、怪訝な瞳をシーに向けた。さっきまでおとなしくジュースを飲んでいたはずの彼女が、どうしたというのだろう。
シーは何も応えず、ただ真剣な瞳で、リヒャルトが広げている地図の裏面を見ている。
勿論、裏面には何も書かれてはいないのだが。
「シー?どうしたんだ?」
リヒャルトも、シーの様子に気がついたらしく、地図から顔を上げてシーを見た。
「……なんか、文字みたいだなーって思ってさー」
「文字?」
地図を指さして、シーが何気なく言う。それに俺も同じく裏面の状態から地図を覗き込んでみた。
透かせてみると、表面に書かれたチェックポイントの位置が確かに文字を描いているように見える。
……星を巡る旅はここで終わり……そうか、そういう事か。
俺は最後のヒントの意味をようやく理解して、地図を受け取ると取り出したペンでポイントとポイントを線で繋いでみた。
「いきなり、どうしたんだよ、ラフィ」
ついにおかしくなったか……なんて、失礼な発言が聞こえてくるが、敢えて無視で。
俺は作業を終えて、もう一度裏面にひっくり返してみた。
……やっぱりな。
俺の行動の意味が分かっていなかった面々だったが、完成した地図を覗き込んで、口々に驚きの声を上げた。
今までただの点でしか見ていなかったから、こんな簡単な事に気づかなかったのだ。
光に透かせてみると、表に描かれたものがはっきりと読みとれる。
先程までただの点だったそれは、文字として浮かび上がった。
“12の星が刻む約束の場所”
その言葉を見た瞬間、サリアは言葉を失って口元を押さえた。
どうやら、この言葉に心当たりがあるようだ。
「……答えに心当たりがあるんですね?」
「…………はい、これはきっと、私と彼が初めて出逢った場所です」
僅かに涙ぐんでいるその様子に、何となく引っかかりを覚えた。
もしかしたら、サリアさんの恋人は……
「じゃあ、行ってみるのだー!早く、お宝を見つけようー」
シーの元気な声に、思考が中断される。お気楽脳天気なこう言う所は、うちの姉にそっくりだよな……
それに、サリアはええと、僅かに笑顔を浮かべて立ち上がった。
先程まで泣きそうだった雰囲気は今は跡形もなく消えて、先走ろうとするシーの手を取って、仲良く歩いていく。
カフェの会計をすませ、俺達はサリアの約束の場所を目指した。
「おったから、おったからー♪」
ようやく謎が解けた事に嬉しそうな様子のシーは、人目もはばからずスキップでもしそうな雰囲気だ。
どんなお宝なのかなーっと、サリアを見上げて、楽しげに笑うその姿に、くすくすとサリアは笑う。手のかかる妹を見ている気分なのだろう。
「……リヒャ……」
「ん?」
シーとサリアの後ろを歩きながら、俺は声を潜めて、リヒャルトに声をかけた。
「……もしかして、サリアさんの恋人って……」
俺の言葉に、リヒャルトは僅かに顔をしかめた。
どうやら、俺が何を言わんとしているのか悟ったのだろう。
「…………俺からは何も言えない……だが、多分、お前が考えている事は合ってると思う」
やはり、そういう事なのか……
リヒャルトの精一杯の返答に、僅かに顔をしかめた。
……そうなると、ここから先は、少しつらいものを見る事になるかもしれないな。
俺は目の前を楽しげに歩くシーの姿に、僅かに心配するように視線を送った。
「……シーを心配してくれて、ありがとな」
「……え……?」
ぼそりと呟く程の声で、言われたその言葉に、俺は驚いてリヒャルトを見た。
それにリヒャルトは僅かに顔をしかめると、何事もなかったように視線を明後日の方向に向けた。
普段は絶対にお礼なんて言わない奴が急にこんな事言うもんだから、本気で驚いてしまった。
そのまま呆然とリヒャルトを見ていると、顔をしかめたままのリヒャルトがじろりとこちらを見てきた。
「……なんだよ、その顔。……鳩が豆鉄砲食らったみたいな顔してさ」
「……いや、だって……なぁ」
「俺だって、礼くらい言うぞ。特にシーの事はな」
……そうなのか。
俺はあまりの事にフリーズしていた思考を再開させて、くすりと苦笑が浮かんだ。
「だ、だからって、お前を認めた訳じゃないからな!」
リヒャルトは慌てたように、言葉を付け足す。それに更に笑みがこぼれるのを感じ、俺は口元を押さえた。
絶対、お前が義弟になるなんて許さないんだからなと、訳の分からない事まで続けるリヒャルトの言葉をただ聞きながら、はいはいと、生返事を返していると、目の前を歩いていた二人が不思議そうな顔を振り返らせた。
それに何でもないと、手を振ってごまかしながら、俺達は目的の場所を目指した。
その場所はカフェからそれ程離れていない場所にあった。
メインストリートから少しはずれた路地を歩いていると小さな時計塔が見えてきた。
時計塔といっても、それ程大きいものではなく、家二階分程しかないようなものだった。
ほとんど、小屋のようなものだけど、大きな時計が四方に向けて四つ取り付けられている。
その四つの時計の上に大きな金色の鐘が一つあり、時間になると鳴る仕組みとなっているようだ。
「……ここです。この場所で、私と彼は初めて出逢いました……」
サリアが立ち止まって、時計塔を懐かしそうに見上げる。
「わー、それはろまんちっくだねぇ」
シーはその言葉に羨ましそうな瞳でいいなぁっと無邪気な笑顔を浮かべている。
それにサリアは少しだけ悲しげな笑みを浮かべた。
「……ここは……」
「ええ、最初の出発点でしたね」
辺りを見回したリヒャルトの言葉に、サリアは苦笑を浮かべた。
……最初の出発点に宝物を隠していたのか。
まぁ、確かに最初から見つかるなんて誰も思ってないから、一番の落とし穴だよな。
「とりあえず、探すか」
俺の言葉に、3人は頷いた。
またしても、各自別々の場所を探し始めた。
しかし、最初の時もここに来ているとなると、周りはほとんど探したんじゃないのかな。
となると、あまり探さなそうな場所は……
俺は時計塔を見上げて、あっと声を上げた。
「どうしたんですか?」
俺の声にサリアが不思議そうな顔を向けてくる。それに俺は見つけたものを見せるように時計塔を指さした。
「鐘の下のとこ。何か、箱がある」
それにサリアも、同じものを見つけたのか、あっと小さく声を上げた。
しかし、あんな所にあるとなると、はしごか何かが必要になるな。
だけど、周りにはそんなものないしなぁ。
……辺りを見回していた俺だが、ふと、リヒャルトが目に入った。
リヒャルトもまた、上を見上げて物を確認しているようだ。
それに俺は名案を思いつき、距離を計測した。
何とか、いけそうか。
「おい、リヒャ。協力しろ」
俺の言葉にリヒャルトは何事かとこちらを見る。
俺は距離を計算しながら、時計塔から僅かに離れる。その様子に何をするつもりなのか理解したリヒャルトは、時計塔の前で仁王立ちするように立ちはだかった。
シーとサリアは俺達が何をするつもりなのか分からず、困惑した表情を浮かべている。
まぁ、失敗すればちょっと危ないかもしれないが、何とかなるだろう。
俺は深呼吸するように一度息を吐き、短く吸って、止めた。
その瞬間に足を一気に前へと踏み出し、地面を蹴りつけた。
「来い!!」
リヒャルトは両手を構えて、全速力で駆ける俺をまっすぐに見据えた。
距離が一気に縮まり、俺はリヒャルトの目の前に迫った。
身体の前でリヒャルトが両手を構え、俺はそれに片足を乗せた。
その瞬間、リヒャルトが渾身の力を込めて、俺の身体を持ち上げる。
勿論、俺もその瞬間に地面を蹴りつけて、跳躍した。
ぐいっと重力が俺の身体を地面に押し戻そうとするように、圧力がかかったけれど、リヒャルトの力はそれを上回っていた。
タイミングを見計らって、リヒャルトの手を蹴りつけて、俺は更に高く飛び上がった。
風が耳元でうるさく通りすぎる。
宙に放り出される感覚を味わいながら、俺は目の前に迫った時計塔の屋根に飛び乗った。
何とか、成功か。
俺はしっかりと屋根を踏みしめ、胸に溜まっていた息を吐き出した。
「……リヒャ、無事かー?」
俺は屋根の上から、下を覗き込み、手をさすっているリヒャルトを見る。
「てめ、少しは手加減しろよー」
僅かに涙ぐんで手をさすっているその姿に、苦笑を返しながら、俺は屋根の下の鐘を見る為、屋根に手をついて、身体を僅かに下ろした。
足がかりになるようなものがないので、ちょっと悪いと思ったけど、時計本体を足がかりにさせて貰った。
腕の力だけで支え続けるのは、ちょっと自信ないんでな。
まぁ、ミュウラーやリヒャルトなら、筋肉あるし、出来るかもしんないけどな。
だけど、俺は無理。そこまで筋肉ないし。
自分の筋肉のなさに少しだけ情けなくなりながら、俺は鐘の下の所にある箱を手に取った。
「あったか?」
「ああ、今降りる」
リヒャルトの言葉に、俺は頷きながら、箱を抱えて時計塔から飛び降りた。
上るのは大変だけど、降りるのは楽だな。
まったく厄介な所に隠してくれたもんだよ、ホント。
口には出さず、心の中でぼやきながら、駆け寄ってきたサリアに抱えていた箱を手渡した。
装飾の施された小箱を受け取り、サリアは僅かに目を見開いた。
「……これは……なくなったと思ってた彼のオルゴール…」
ぼそりと呟いて、サリアはその小箱を開けた。
きぃと、僅かに蓋のきしむ音を響かせて、小箱を開けると、カリカリと中の歯車が動き出し、そのオルゴールは曲を奏で始めた。
切ない旋律がゆっくりと、辺りに響く。オルゴール独特のもの悲しくなるような音が奏でるそれは、どこか懐かしさを覚える異郷の音楽で、サリアは悲しげに瞳を細めた。
「……中に何か入ってるよ?」
中を覗き込んだシーが、小箱の中に更に小さな箱が入っているのを見つけた。
サリアはそれを取り出して、震える手でそれを開けた。
「………っ………」
中から出てきたのは、銀色の指輪。
小さな宝石があしらわれたそれは、質素だがそのシンプルさが逆に指輪の価値を高めているように見えた。
サリアは震える指でその指輪を手に取り、手のひらに乗せた。
指輪の中側に文字が彫り込まれている。それに気がついたサリアは、小さな声でその言葉を読み上げた。
「“12の星がどれ程巡っても、我が愛は永遠なり”……」
その言葉に、シーはぱあっと顔を明るくして、
「それって、婚約指輪って事だね!」
と、無邪気に喜んで、サリアを祝福した。どうやら、サリアの恋人は、これを見つけさせる事で、プロポーズをしようとしていたのだろう。
サリアは、ついにその瞳から涙を零して、思いを馳せるように瞼を伏せた。
その様子に、シーは訳が分からないというように心配げな表情でサリアを見上げている。
「どうしたの?サリアさん。……嬉しくないの?」
シーの言葉に、サリアはただ、首を振って、涙を拭った。けれど、透明な涙は次々と零れ落ちて、サリアは涙をこらえるように口元を押さえた。
「だめだよ、サリアさん。泣いたら幸せが逃げちゃうよ…」
ぽろぽろと涙を零すサリアの姿に、シーも泣きそうな顔をして、サリアを慰めている。
その様子に、俺はやりきれなさを感じ、サリアを慰めるシーの頭を撫でた。
「……シー……それくらいにしてやってくれ…」
「……?」
俺の言葉に、シーはただただ不思議そうな顔をするだけで。何も気づいていない彼女に罪はないのだが、これ以上はサリアの傷を抉るだけだ。
僅かに顔を曇らせながら、小さく首を振ると、シーは何がいけないのかわからないというように、泣きそうな表情になった。
そんなシーの様子に気がついたのか、サリアは涙を拭いながら、悲しげな微笑みを俺達に向けた。
「……ごめんなさい、取り乱してしまって……覚悟は、していたはずなのに……やっぱり……ちょっとつらくて…」
僅かに鼻をすすりながら、サリアは微笑む。俺達を心配させないよう、精一杯笑おうとしているその姿に、少し、悲しくなった。
俺はポケットからハンカチを取りだし、サリアへと差し出した。
それにサリアは一瞬驚いたような顔を俺に向けたが、苦笑するように微笑み、ありがとうとそれを受け取った。
「……ごめんね、シーちゃん。驚かせちゃって」
シーを見下ろして、サリアは苦笑する。それにシーは、ただ首を振り、心配そうな瞳でサリアを見上げている。
「……彼はね……貴方達と同じ、冒険者だったんです。……けれど、三ヶ月前、魔物の討伐依頼を受けて、出かけたっきり……」
「―――っ!?」
サリアの言葉に、シーは驚きに息を飲み込んだ。
途中で呑み込まれたその言葉の先は、聞かなくても容易に想像がつく。
冒険者なんて、いつだって危険と隣り合わせで、死がいつ訪れるか分からない職業だ。
それが明日来るか、明後日来るか、はたまた、数時間後か……死の影はいつだって俺達と共にある。そんな世界で俺達は生きている。
それは、冒険者として駆け出し始めたシーにだって、痛い程よく分かっているはずだ。
他者の命を奪う者は、同様に命を奪われる事を覚悟していなければいけない。因果応報とでも言うのだろうか。
冒険者が命を落とす事は珍しくはない。
それが魔物によってか、はたまた、同じ人の手によってか。理由は様々だが、たくさんの冒険者がこの島を訪れる中、こうして密かに消えていく者達も少なくはない。
幸いな事に、今はまだ俺の知り合いに命を落とした者はいない。けれど、いつか、こんなつらい別れを迎える事になるのかもしれない。
サリアのこの姿は、未来の俺の姿になるのかもしれないと考えると、胸が締め付けられる思いがした。
サリアは優しげな瞳でお腹を見下ろしながら、そっと撫でた。それがひどく神聖な行いのように見えて、ただ目を奪われた。
「……彼の遺品が魔物の住む洞窟で見つかったと連絡があったんです。……それからしばらくして、私のお腹の中に彼との子供がいるってわかったの……だから、いつまでも泣いていられない。この子の為に頑張らなきゃって。……だから、今回、リヒャルトさんにお願いして、彼が遺した物を見つけに来たんです」
優しい瞳でお腹を見つめるその瞳の中には、彼女の決意が垣間見えて、その姿に俺は心から女性は強いな、と思った。
「…………っ………」
サリアのそんな姿に、シーは大きな瞳から大粒の涙を零し、鼻をすすった。
その涙はとどまる事はなく、次々と零れ落ちていく。
ぼろぼろと涙を零すシーは、僅かに慌てたように涙を拭ったが、泣きやむ事が出来なかった。
サリアの事を想って、シーは泣いているのだろう。
彼女はいつだって、誰かの為に涙を流す事が出来る。他人の為に、何の躊躇もなく泣けるシーを、少しだけ羨ましいと思う。
俺には出来ない。……俺は、ただ笑ってごまかす事しか、出来ないから。
誰かの為に本気で涙を流せるシーは、すごいと思う。
その様子に、サリアは苦笑を浮かべ、俺が渡したハンカチでシーの涙を拭った。
「私の為に泣いてくれて、ありがとう。シーちゃんは優しい子だね……」
サリアの言葉に、シーは違うというように、ぶんぶんと頭を振った。それにサリアは僅かに首をかしげて、シーを見た。
「……っ……ひっく………泣きたい時は、泣いて良いのだ!……サリアさん、一緒に泣くのだ!!」
シーが大きな青い瞳でサリアを見つめ、はっきりとそう言った。
その言葉を聞いた瞬間、サリアは僅かに瞳を見開いたが、不意にその瞳から大粒の涙が零れだした。
ぽろりと一粒の涙が零れた瞬間に、堰を切ったように涙が次々とあふれ出し、サリアは戸惑うように顔を押さえた。
俺達の為に笑ってくれていたけれど、やはり、無理をしていたのか。
シーは、そんなサリアの無理を見抜いていたのだろう。
泣いて良いんだと、その言葉が、サリアの心を僅かに軽くしたのかもしれない。
泣く事は悪い事ではない。まして、恥ずかしい事でもない。
他者を想って流す涙は、いつだって綺麗なものなのだから。
「………っ………レオの馬鹿!!……帰ってくるって……約束したのに…っ!!」
サリアは両手で顔を覆って、その場にくずおれるように、両膝を地面についた。涙がぽろぽろと、指の間をすり抜けて、地面に染みを作った。
悲痛なその言葉に胸が締め付けられる。俺はそんなサリアの姿に直視する事をためらって、視線を明後日の方向に向けた。
そんなサリアを慰めるように、シーもまた、地面に膝をつき、サリアを抱き締めた。
「恋人さんの馬鹿馬鹿馬鹿――――!サリアさんを独りぼっちにしてーーーー!!責任取るのだーーーーー!!!」
シーもまた、声を大にして、無茶な事を叫び始めた。
そんな二人の様子に、街をゆく人々か何事かとこちらを見てくる。断じて、俺達が泣かせている訳じゃないのに、何だか罪悪感に駆られるのは何故だろう。
「……っ………帰って……きてよぉ…………レオォォォォォォォ!!!」
サリアは空に向かって、吠えるように声を上げた。その声はただ虚しく、どこまでも澄んだ青空に吸い込まれていった。
胸に溜まっていた想いを吐き出すように、彼女は声を上げて泣き続けた。
堰き止めていた涙は、抑制される事なく、ただ零れ落ちる。
そんな二人の泣き声は、サリアの恋人が愛したアステカの街に悲しく響いたのだった。








「……ぐす……ぐす…」
ずずずっと、いまだに鼻をすすりながら、シーが泣きはらした顔を僅かにしかめた。
随分盛大に泣いた事で、二人はすっきりしたのか、やがて泣きやんだ。
サリアとは時計塔の前でそのまま別れる事となった。
依頼の報酬だと言って、幾ばくかの金銭を渡されたが、俺はそれを辞退した。
正式に依頼を受けていたのはリヒャルトであり、俺ではない。
それに、これから一人で子供を育てていかなければならない彼女から、金銭を受け取る事なんて出来ない。
そのお金は、子供の為に使ってやってくれと言ったら、彼女はくすりと笑って了承してくれた。
今はサリアと別れ、俺達が拠点としている宿へと戻る所だった。
またしても、泣きはらした顔で宿に戻る事となったシーは、僅かに気恥ずかしく思っているのか、俯いたまま、リヒャルトに手を引かれて歩いている。
リヒャルトと手を繋いで、時折鼻をすすりながら、歩くその姿がやけに微笑ましく感じる。
その姿に、昔、俺も姉とよく手を繋いで、家に戻った事を思い出した。
もうすぐ日が暮れる。夕日がアステカの街をオレンジに染め上げるのを見上げながら、確かに綺麗な街だよなと、今日の冒険を振り返った。
普段、何気なく過ごしていた場所だったけれど、意外に知らない場所は多いものだ。
今日の宝探しは、意外な発見へと繋がってそれなりに楽しかった。
そんな風に、景色を楽しむ事が出来るというのは、すごい事だなと思った。
「…………………」
だが、その気分をぶち壊しにしてくれている輩がいる事に、俺は気がついていた。
先程から、ずっと後ろをついてくる気配がある。突き刺さるような殺気が首筋の毛を逆立てるようにちりちりとする。
その殺気に、前を歩くリヒャルトもシーも気がつきはしない。
やはり、標的は俺だけなのだろう。
さて、どうしたものかな。
このまま素知らぬ顔で宿に戻る事も出来るが、何が起こるか分からない。
俺は心の中で溜息をつき、迷惑な輩の顔を拝んでやろうと、決意した。
「……あー、しまったなぁ」
「ん?どうした?ラフィ」
心の中で白々しいなと思いながら発した俺の言葉に、リヒャルトとシーが不思議そうな顔で振り返る。それに俺は苦笑を浮かべてみせ、
「悪い、先に宿に戻っててくれ。そろそろ弾薬を補充しとかなきゃだったんだ」
と、さも今思い出した風を装って、二人にそう告げる。
まぁ、ありきたりな理由だが、尾行者がいるなんて気づいていない二人に、俺の真意は気づかれないだろう。
買ったらすぐ、宿に帰るから、と俺は二人に告げるとそのまま踵を返し、元来た道を走った。
そんな俺の背中に、シーが何やら声をかけたようだが、その時にはもう、その声は聞き取れない程になってしまっていた。
多少怪しまれたかもしれないが、お気楽な二人の事だ。無事、宿に戻ってくれるだろう。
それに、俺達を尾行していた奴は、予想通り俺の方についてきた。
俺を見失わないように、必死に追いかけてきているのだろう。
気配を殺し切れていないその様子に、相手の必死さが伺える。
俺は人通りが少ない方を目指し、路地裏へと入り込んだ。
「――――っ!?」
だが、その瞬間、足に走った痛みに、僅かにつんのめって、俺はバランスを崩した。
転びかけながら、何とか立ち止まって足を見下ろすと、左膝ら辺にうっすらと血の跡が浮かんでいた。
原因はどうやら、投げられたナイフのようだ。地面に突き刺さっているそれを見下ろし、小さく舌打ちをした。
まぁ、薄皮を切られた程度なので、この程度では移動に支障をきたす事もない。が、だいぶ人が少ない場所に出たから、この辺で丁度良いかもしれない。
相手も、どうやらそのつもりのようで、俺を追いかけていた気配とは別の気配がすぐ側に現れた。
……誘い込むつもりが、逆に誘い込まれたのかもしれないな。
俺は肩に背負っていた銃を構えながら、現れた気配を振り返った。
その瞬間、小さな影が俺の目の前に迫ってきた。
俺は咄嗟に銃を身体の前で構え、第一撃を銃で受け止めた。
ガキンと、金属特有の甲高い音が辺りに木霊した。
ギラリと光る銀色のかぎ爪が、銃をひっかくように食い込んでくる。
ギリギリと、力任せに銃を押しのけようとするそのかぎ爪を振り払うように、ぶんっと銃を振ると、その影はさっと身を引いた。
相手が離れた事によって、ようやく俺を狙っている者の姿が見えるようになった。
目の前に現れたその小さな影の正体を見破るべく、そちらを見据え、驚きに瞳を見開いた。
狐の耳としっぽを持ったその小さな影は、幼い少年だった。
歳はシーよりも若いのではないだろうか。
そんな少年が、何故俺を狙うのか。
俺は訳が分からず、困惑した顔を少年に向けた。
その瞬間、殺気が肌に突き刺さり、俺は咄嗟にその場から飛び退いた。
カカカッと軽快な音を立てて、幾本ものナイフが地面に突き刺さる。
俺が今まで立っていたその場所に突き立てられたナイフが、冷たい輝きを放つ。飛び退くのが一瞬遅かったなら、間違いなく凶刃の餌食となっていただろう。
俺は僅かに冷や汗が流れるのを感じながら、現れたもう一人の小さな影を見た。
やはりこちらも、幼い少女。顔立ちが似ている事から、二人が双子である事が窺い知れる。
これだけ幼いのに、動きが精練されている。
という事は、何らかの特殊な訓練を受けた暗殺者、と考える方が妥当な所だ。
だが、何故自分が暗殺者に狙われる?
確かに冒険者をしていれば、恨みを買う事も多い。しかし、最近はそれ程きな臭い依頼など受けていないし、恨みを買うような事をした覚えもない。
暗殺者に狙われる覚えが思いつかないが、現に今、襲撃を受けている。
まずはこれをどうにかしないといけないと、思考を切り換え、銃を構えた。
しかし、こんな幼い子供を……俺は撃てるのか?
俺は一瞬、頭をよぎったその考えにぎくりとして、引き金を持つ指が震えた。
確かに、命を奪わなくても、制する方法はいくらでもある。だが、その為には彼らを傷つけなければいけないのだ。
魔物を相手にするのと、人を相手にするのは勝手が違う。まして、それが子供を相手にするのならばなおさらの事だ。
……甘い考えなのは分かっている。こういう世界に足を踏み入れた以上、大人も子供も関係ない。殺らなければ殺られる。それが闇の世界のルールだ。
だが、俺は闇の世界の住人じゃない。そこまで、堕ちていない。
そんな俺が、彼らと本気で戦えるのか?
俺の心に浮かんだ疑問を見抜いたのか、少年達は的確にそこを攻めてくる。
俺は防戦を強いられ、少年のかぎ爪を銃身で受け流した。






……そんな俺の様子を見下ろす男が一人。
俺達のいる路地裏を一望できる位置に、彼らに命令を下した男、レヴィンはいた。
その横には黒髪の獅子男もいる。どうやら、俺の実力を計る為に彼らを差し向けたらしい。
俺が葛藤しながら戦う様を見下ろしながら、残忍な笑みを浮かべたレヴィンは、甘い奴だと、口の中で呟いた。
もしかしたら、このまま捕獲も出来るかもしれねーな。
レヴィンは俺の様子を眺めながら、くくくと喉の奥で笑った。






「……っ!!」
俺は少年のかぎ爪をはじき返しながら飛んできたナイフを避けた。
だが、その瞬間、どんっと背中が壁にぶつかった。
しまった。どうやら、壁際に追い込まれてしまったみたいだ。
地形を利用して、相手の行動を制限する。
戦闘の基本中の基本なのに、動揺のあまり失念していた。
さて、どうするか。
どうやら、この二人は俺の命を奪おうとしてはいないらしい。どちらかというと、俺の力量を計っている、といった感じだろうか。
まぁ、妥当な線で考えれば、俺を狙う理由は、俺が“呪われた赤き眼の民”だからではないだろうか。
アルビノは希少種だ。そういうものを求める馬鹿は案外多い。
最近はこういうのも減っていたのだが、どうやら、また妙な奴に目をつけられたらしいな。
俺は心の中で溜息をつきながら、じりじりと迫ってくる二人の子供を見据え、唇を噛んだ。
しかし、その瞬間、かくりと足が力を失い、地面に膝をついた。
慌てて足を見下ろすと、先程、ナイフが掠った場所が紫色に変色している事に気がついた。
……やられた。最初のナイフに神経性の毒が塗ってあったらしい。
しびれを発する足の状態を見て、俺は顔をしかめた。
まずい、このままでは動けなくなる。
俺は心底やばいと感じ、一旦退く事を決意した。
「……っつ……」
だが、時は既に遅かったようだ。立ち上がろうとした足は、再び地面に逆戻りし、膝をついた。
……やばい、立ち上がれない。相手が子供だからって、油断しすぎだ。
その瞬間を逃すものかと、少女が取り出した鎖鎌をぶんぶんと振り回し、分銅がついたそれを俺へと投げつけた。
「っ!!!」
動けない俺に避ける術はない。首に絡むように狙われたそれを、せめて首からずらそうと、右腕を犠牲にして何とか避ける。
ぐるぐると、右腕に鎖が絡まり自由を奪われた。
ギリギリと締め付けられ、痛みに顔をしかめる。抵抗するように、その力に抗ってみたけれど、毒の所為で力が入らない。
このまま、捕まるのか。
俺は浮かんだ考えに、ぞっとして、否と心の中で叫んだ。
こんな所で捕まる訳にはいかない。俺は、ただ普通に生きたいだけなのに。
それすら許されないというのか。
沸き上がる怒りを感じながら、俺は目の前の少年達を見据えた。
……捕まる訳にはいかない。ならば、やる事は一つしかない。
俺は覚悟を決めて、殺意を込めた瞳で少年達を見据え、片腕で銃の照準を少年に向けた。引き金を引けば、それで終わる。俺は息を止め、指に力を込めた――
「うおぉぉぉりゃぁぁぁぁぁぁ!!!」
だがその瞬間、俺達の間に割って入った者がいた。
妙な奇声と共に、振り下ろされた大剣は、がきんっと音を立てて俺を拘束している鎖を一刀両断した。ぱきんっと、いとも簡単に鎖が断ち切れ、少女はあまりの衝撃に思わずしりもちをつく事になった。
「ラフィにーちゃ、大丈夫?」
慌てた様子で俺に駆け寄ってくるシー。俺と少年の間に割って入ったリヒャルトは少年達を見据え、油断なく大剣を構えている。
「たく、こんな事だろうと思った。……シーに感謝しろよ。お前の様子がおかしいって、慌てて追いかけてきてやったんだからな」
リヒャルトは俺を振り返る事なく、そう言い放った。それに俺はシーを見下ろし、驚いた顔を向けた。
シーは俺の右手に絡まった鎖を解いてくれている。解放された腕を僅かにさすりながら、シーに気づかれるようじゃ、俺もまだまだだなっと、心の中で苦笑した。
「……さて、お前らは一体何者だ?何でラフィを狙う?」
リヒャルトは対峙する少年達を見据え、問いかけるが、勿論返答はない。
一度お互いの顔を見合わせると、潮時だというように、二人は踵を返して逃走を始めた。
「あ、待て、逃げるな!!」
それにリヒャルトは慌てて追いかけようとした。だが、深追いは危険だ。
「やめろ、リヒャ!!」
俺は直ぐさまリヒャルトを呼び止め、制止の声をかけた。それにリヒャルトは俺を振り返り、何で止めると、僅かに不満げな瞳を向けられた。
「……深追いは危険だ。追うな…」
「…………わかったよ」
俺の言葉にリヒャルトは小さく溜息をつくと、持っていた大剣を背中の鞘に収めた。
とりあえず、リヒャルトのおかげで危険は去った。俺は安堵したように小さく溜息をついた。
しかし、追い込まれたからといって、まさか、あの少年達を本気で殺そうと考えるなんて……
俺は自分自身の心に今更ながらに動揺し、愕然とした。
リヒャルトが俺達の間に入らなければ、俺は本気であの少年達を殺しにかかった事だろう。
捕まるかもしれないと考えた瞬間に、冷たい殺意が俺の心を支配した。
どす黒く、冷たいどろどろした物が俺の心の中にも流れているのだと、思い知らされた。
確かに、我が身が可愛くないかと言われれば、勿論、可愛くないとは言わない。
だが、その為に、子供を殺しても良いと考えるなんて……
俺は自分自身の心に恐怖を覚えながら、引き金を引かなくて済んだ事に心から安堵した。
……と、不意に肌に突き刺さる殺気を感じ取り、俺は建物の上を見上げた。
昼間感じたのと同じ、ざらつくようなこの殺気は、きっと同一人物のものだろう。
遠目ではっきりとは分からないが、顔に傷のある黒髪の男が、俺を見下ろしている。
しかし、男はすぐさま建物の影に隠れてしまい、それ以上姿を見る事は出来なかった。
……一体、あの男は何者だ。
俺は心の中で呟きながら、嫌なものが胸を渦巻くのを感じた。
嫌な雰囲気を纏った男だったと、先程見た光景を思い出しながら、俺は顔をしかめた。







「……ち、姿を見られたかもしれねぇな…」
すぐさま建物の影に隠れたレヴィンは僅かに顔をしかめ、舌打ちをした。
あいつの察知能力はどうやら、相当なもののようだ。レヴィンは顔をしかめつつ、次はもっと慎重にしなければならないなと、心の中で呟いた。
「まぁ、初戦はこんなもんか……」
レヴィンは気を取り直し、腕を組みながら、そう言った。
今回の襲撃の目的は、相手の力量を計る事だ。目的は達せられたと判断したのだろう。
「しかし、とんだ甘ちゃんだな、あの坊主。……だが、最後に見せた殺気にはぞくりとしたがな」
追い込まれた時に見せた殺気を思い出しながら、レヴィンはくくくと笑う。
どこか自分と似た雰囲気を感じ取りながら、実際に会うのが楽しみだと、心の中で笑った。
「さて、力量も計れたし、アジトへ帰るぞ」
「はい、親分」
レヴィンの言葉に、獅子男は頷いて、歩き出したレヴィンの後を追った。







「それにしても、あいつらは何者だったんだ?」
いまだ座り込んだままの俺を見下ろしながら、リヒャルトは俺に問いかけてくる。
俺だって、それを知りたいよ。
「わからん。ただ、特殊な訓練を受けてるだろうって事くらいは想像がつくけどな」
俺は肩をすくめて見せながら、苦笑した。
「……だけど、何で分かったんだ?……俺の様子がおかしいって」
リヒャルトから視線を動かし、俺の手をさすっているシーを見ると、シーは泣きそうな顔で俺を見上げてきた。
「……だって、なんか、嫌な予感がしたんだもん……ラフィにーちゃが遠くに行っちゃうような……」
心底心配したんだよ、と大きな瞳が言葉以上にシーの気持ちを伝えてくる。それに俺は言葉を失って、ただシーを見た。
……確かに、今のは本当に危ない所だった。危険はいつだって隣り合わせにあると、先程身にしみていただけに、俺の異変を察知しやすかったのだろうな。
冷たい死の影はいつだってすぐ側にある。それがいつ牙をむいて襲い掛かってくるか、わからない。いつだってそれは唐突に、何の準備もないままに、無慈悲に現れるのだ。
死が俺達を分かつ事だって十分にあり得る事だ。その恐怖を感じたのかシーは泣きそうな瞳で俺を見上げ、
「……一人で無茶して、シーの前からいなくなるなんて……絶対許さないのだ……」
と、小さな声でそう言った。
……まずいな、このままじゃ、またこいつ泣くかもしれない。
俺は直感的にそれを感じ、どうするかと思案した。
「ま、何にせよ、助かった。……ありがとな、シー」
俺は困ったように苦笑を浮かべて、頭を撫でてやると、泣きそうだったシーの瞳が僅かに穏やかになった。
何とか、今回はこれでしのげそうだ。
それに内心で安堵しながら、シーの言った言葉を反芻した。
確かに俺は、いつだって自分の力だけで解決しようとしているのかもしれない。
けれど、たまには、誰かに頼ってもいいのだろうか……?
だが、やはりこれは俺の問題だ。俺自身で解決できるのなら、それにこした事はない。
それに、絶対にシーを巻き込む事は出来ない。たとえ、シーが守られる事を拒否しても、それを譲るつもりはない。
これは俺の冒険者としての意地だ。
俺は密かに決意を固めながら、シーを慰めるように、頭を撫でた。
その様子にリヒャルトが僅かに眉を寄せたようだが、安心しろ。シーをとるつもりはねーから。
兄としての立場を危ぶむような事にはならんだろう。俺は結局は赤の他人だしな。
「……さて、宿に帰るか」
リヒャルトは夕暮れが迫ってくる事に気がついて、そう切り出した。その言葉に、俺は密かにぎくりとし、リヒャルトを見た。
実はまだ、足が動かない。……だが、リヒャルトに助けを求めるのは何となくしゃくだ…
どうしようと内心で葛藤を繰り広げたが、こんな所で夜を迎えたくないので、くだらないプライドなんてこの際捨てるしかないと、諦めに似た気持ちが浮かぶのを感じた。
俺は覚悟を決めて苦笑を浮かべ、リヒャルトを見上げた。
「……悪い、リヒャ……立てない……」
俺の情けない言葉に、リヒャルトが心底、嫌そうな顔を浮かべる事を予想しながら、俺は正直にそう告白したのだった。



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