タイトル通り、不定期更新のブログです。 気が向いたとき、更新すると思います。 内容としては、オンラインゲーム「トリックスター」「ラテール」などを中心とさせて頂いております。(時々日常のことなども書くかもです)

れあちーのきまぐれにっき

.

スポンサーサイト

  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

04 水先案内人

  1. 2008/04/28(月) 02:17:53|
  2. 冒険者で20のお題
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
|д・) ソォーッ…


何だか、今回のお題はちょっとびみょーな感じ(ぁ


今回は趣向を変えてシー視点からですよー(`・ω・´)ノ


別名、シーによるラフィ観察日記です(ぁ



もしかしたら、後で書き直すかもですが、一応UPで(ぁ



オリジナル設定が結構強くなってきましたので、それでも良いよという方は、続きをどうぞ。









04 水先案内人






「……っ、次だぁ!!!」
奇声を上げながら、牙をむき出しにして飛び込んでくる緑色の鳥を、剣で叩き落としながら、声を上げた。
鳥のくせに牙があるなんて、変な生き物だよね、まったく。
と、今度は違う方向から別の鳥がこっちにつっこんでくる。
まったく、次から次へと、どんどん沸いてくるんだから。討伐する方の身にもなって欲しいのだ。
ぺちんっと剣の腹で叩き落とすと、鳥は地面に転がり落ちて目を回した。
う、これにとどめを刺さなきゃいけないのかと思うと、ちょっと心が痛むな。
でも、討伐って事は命を奪う事なんだ。
だから、殺さなきゃいけないんだけど……とどめを刺そうとする手が震える。
と、とどめを刺す事をためらっている間に、他の鳥が背後から忍び寄ってきていた。
それに気づいた時にはもう遅く、鋭い牙をむき出しにしたそれが目の前に迫っていた。
―――ズダァァァン
その瞬間、遠方から銃声が響き、目の前に迫っていた鳥が撃ち抜かれて地面に転がった。
……ラフィにーちゃだ。
少し離れた丘の上で、シーが戦うのを見守っているのだ。
最後まで手を出さないって言ってたのに。まぁ、ラフィにーちゃのおかげで助かったんだけどさ。
ラフィにーちゃにはいつも、助けて貰ってばっかりだ。
いつ見ても、正確な射撃をするラフィにーちゃ。命を奪う事の重みを知っているからこそ、容赦がない。それは、相手が苦しまないようにという、ラフィにーちゃなりの優しさなのだろうと思う。
と、ラフィにーちゃの背後に、緑色の小鳥が近づいている。
「ラフィにーちゃ、後ろっ!!」
シーが叫ぶか叫ばないかのうちに、ラフィにーちゃは最初から気がついていたのか、焦る事なく、上着の袖に隠し持っていた小型銃で、後ろを振り返る事なくその鳥を撃ち落とした。
……流石、としか言えないな。シーが心配する必要もないみたいなのだ。
鷹の目のようなラフィにーちゃの赤い瞳が、お前は自分の目の前の事に集中しろ、と、そう言っている。
わかってるもん。ちゃんと、自分の事は自分で片づける。
覚悟を決めて、地面に転がっている鳥に向かって剣を振り下ろす。
肉を切り裂くその感触が直接手に伝わって、眉をひそめる。
だけど、手加減すれば苦しいのはこの鳥の方だ。
心の中だけで、ごめんと呟きながら、剣を引き抜いた。
……実践こそが何よりの訓練。そう言ったのはラフィにーちゃだった。
こうやって、段々と本当の冒険者となっていくのだ。
生き物を殺すこの感覚すらも、いつか麻痺して何も感じなくなってしまうのだろうか。
ラフィにーちゃやママ達は、今どんな事を考えて、この瞬間を迎えるのだろう。
どんな事を想いながら、命を奪うのだろう。
……罪悪感とかそういったものを持たなくなってしまうというのなら、それは悲しい事だと、少し寂しく思った。
飛び込んでくる鳥を切り落としながら、目の前の敵に集中する為、思考を振り払った。
今は少しでも、腕を磨き、強くなりたい。そしていつか、ママやラフィにーちゃの力となりたい。
シーの望みは、ただそれだけなのだ。
まぁ、ラフィにーちゃは、シーがそんな事を考えてるなんて、きっと気づいてないんだろうけどね。
きっと対等な立場になる事は難しいけど、いつか、ラフィにーちゃに認めて貰いたいと思う。
その為には強くならなければいけない。
剣で鳥を振り払いながら、次の鳥へと狙いを定め、勢いよく地面を蹴りつけた。








「はい、お疲れ様。これが報酬だよ」
にっこりと笑って、カウンターの中の女の子が報奨金をくれる。じゃらりと、革袋に入ったそれを受け取ると、自分がちゃんと依頼を終えられた事に対する達成感と満足感を感じた。
「また、次もよろしくね。新米冒険者さん」
猫のような形をした真っ白な帽子をかぶったその子は、シーに微笑みかけてくれる。
「初討伐、お疲れさん。よく頑張ったな」
後ろに立っていたラフィにーちゃが、そう言ってシーの頭を撫でてくれる。それが何だか、無性に嬉しくて、えへへーっと顔がにやけてしまう。その様子を見ていた女の子が何かに気がついたのか、ちょっとニヤニヤしながらこっちを見てる。
むむむ、どうして周りの人は気づいてくれるのに、当の本人はまったく気づいてくれないのだ。
ちょっとそれが悩みの種だったりする訳なんだけど、気づいてもらえないなら気づいてもらえる努力を続けるだけなのだ。
シー達にはまだまだ時間がある。まだまだ、ラフィにーちゃには教わる事がいっぱいあるんだからね。
「それじゃあ、また何か良さげな依頼があったらよろしくな、ミラさん」
「はぁーい。このミラさんにお任せあれー」
ラフィにーちゃの言葉に、女の子が胸を張って笑った。それにシーも慌てて頭を下げ、
「よろしくおねがいしますのだー」
と、女の子にお願いした。
それに、女の子はにっこり微笑んで了承してくれたのだった。








ここ数日の間、ずっとアステカを拠点として動いていた為、随分見慣れた街並みを横目に、ラフィにーちゃと歩きながら、いつもの宿への帰路についた。
最近気がついた事なのだけど、ラフィにーちゃと一緒に歩いていると、時々周りの人がぎょっとした顔をしてラフィにーちゃを見る事がある。
それが何でなのか、あまり考えた事がなかったけど、この間一時的にラフィにーちゃから離れて、ママ達と修行していた時にこっそりと聞いてみた。
それは、ラフィにーちゃの外見によるものだろう、とママ達は言っていた。
色素の薄い真っ白な髪。女の子のように真っ白な肌。そして、血のように赤い瞳を持つ存在を、アルビノ……と、呼ぶらしい。
詳しい事はよく分からないけど、世界中でもごく少数の人数しか存在しないらしい。
なんでも、遙か昔の人たちが人工的に遺伝子操作した為に、身体の色素がなくなってしまったとか。
だけど、身体能力とかそう言ったものが普通の人よりも、優れている、らしい。
まぁ、訓練して鍛えなければ結局は意味はないそうだけど。
どうやら、ラフィにーちゃはそういう人たちの子孫らしい。
だけど、アルビノっていうのはいい事ばっかじゃないんだって。
身体の色素が薄いから、日焼けしやすいとか、人によっては視力が弱いとか、色々あるらしい。
でも、ラフィにーちゃは視力は問題ないらしい。そうじゃなきゃ、銃使いなんてやってられない、とラフィにーちゃは笑っていた。
やっぱり、人と違う外見を持っていると、好奇な目に晒されたり、因縁をつけられたりする事もあるらしい。
ただでさえ、珍しい人種なのだから、それは仕方のない事なのかもしれない。けど、ここじゃなかったけど、他の街で宿屋に入ろうとしたら、ラフィにーちゃだけ宿に入るなと、店の人と喧嘩になった事があった。
ラフィにーちゃは、少しだけ困ったような笑みを浮かべたけど、何も言わずに、シーを宿に預けてそのまま街の中に消えてしまった。その姿はとても寂しそうで、悲しそうで、シーは慌てて追いかけたけど、結局ラフィにーちゃを見つけることが出来なかった。
そんな風に人に嫌われるなんて、シーだったら絶対耐えられない。
ラフィにーちゃはどれだけ、そんなつらい思いをしてきたのだろう。それを考えると、胸が痛む思いがした。
けど、同情なんてしちゃいけない、とママが言っていた。
同じ人間なんだから、せめて自分たちだけは普通に接してあげよう。たとえ、世界中の誰を敵に回しても、と。
シーも、それは同じだよ、ラフィにーちゃ。
隣を歩くラフィにーちゃをこっそり見上げると、その視線に気がついたのか、ラフィにーちゃの赤い瞳がシーを見下ろした。
「どうした?腹でも減ったか?」
くすりと笑みを浮かべながら、僅かに首をかしげてラフィにーちゃが問いかけてくる。
むむむ、確かにお腹はすいてるけど、物欲しそうな顔をしたつもりはないんだけどなぁ。
だけど、タイミング良く……というか、悪く……シーのお腹がきゅるるるーっと鳴った。
あああああ、なんて神的タイミングで……恥ずかしいのだぁ…
僅かに顔が熱くなるのを感じながら、お腹を押さえると、隣からくすくすという笑い声が聞こえてきた。
気恥ずかしい思いを抱えながら、上目遣いでラフィにーちゃを見ると、本当に穏やかな顔で笑っていた。
むむむ、そんな笑わなくても……
耳が少しだけたれてくるのを感じながら、お腹をさすっていると、ぽんっとラフィにーちゃの手がシーの頭を撫でた。
「じゃあ、初討伐のご褒美に、今日の夕飯は何でも好きな物をおごってやるよ。何が良い?」
おお、何でも好きな物食べて良いのは嬉しいのだ。
ラフィにーちゃの言葉に、垂れ下がっていた耳もぴんっと伸び上がった。
「えーっとね、えーっとね、オムライスとね、オレンジジュースとね、チョコレートパフェ食べたい!!」
「はいはい。かしこまりました、お姫様」
大はしゃぎで指折り食べたいものを数えるシーを見下ろしながら、ラフィにーちゃが笑った。
その笑顔を見てるだけで、何だかシーはお腹いっぱいになった気分だよ。だけど、勿論、いっぱい食べるつもりだけどね。
嬉しい気持ちでいっぱいになりながら、シーはラフィにーちゃの手を取った。
「そうと決まったら、早く行こ、ラフィにーちゃ」
お腹ぺこぺこだよー。そう言いながら、ラフィにーちゃの手を引けば、僅かに苦笑しながら、後からついてきてくれる。
それが何だか無性に嬉しくて、えへへーっと、顔がにやけてしまう。
まぁ、前を歩いてるから、ラフィにーちゃからはシーの顔は見えないだろうけど。
そのままラフィにーちゃと手を繋いだまま、シー達は宿屋の方へと向かった。
………のだが、ふと路地裏の方から喧噪のような声が聞こえてきて、ラフィにーちゃの足が止まってしまった。
「………………」
急に立ち止まったラフィにーちゃに引かれるような形で、シーも立ち止まり、きょとんとした顔でラフィにーちゃを見上げると、ラフィにーちゃは声のした方を見据えたまま、動こうとしない。
何だろう、とシーもラフィにーちゃが見つめている方へと視線を巡らすと、路地裏の一確でいかにもちんぴらといった装いの冒険者の男が、幼い子供を脅かしているようだった。
子供の胸ぐらを掴んで男が喚き散らしている。大方、適当な難癖をつけて子供をいたぶって優越感に浸っているのだろう。
ラフィにーちゃと初めて会った時、シーも似たような経験をしているだけに、なんとなく想像がつく。まぁ、やっぱりその時もラフィにーちゃが助けてくれたんだけどね。
ラフィにーちゃはこういう場面に出くわすと、どうも見逃せない性分らしい。確かに見ていて気持ちの良い光景ではないのだけど。
案の定、ラフィにーちゃはシーの手を離すと、そのまま路地裏へと歩み寄っていった。
「大の大人が子供脅して、何やってるんだ?」
「っ!?」
ラフィにーちゃは怯むことなく、子供を脅しつけている黒髪の獅子族の男に向かって言葉を放った。その言葉に男の意識は子供からラフィにーちゃへと移った。
「うるせぇな、見せもんじゃねぇんだよ!関係ない奴はあっち行きやがれ!!」
「……大人が子供を脅してる時点で、十分見せ物だと思うけどね」
僅かに口元をゆがめて、わざと嘲笑めいた笑みを浮かべるラフィにーちゃ。相手を挑発して、子供を逃がしてあげようという考えなのだろう。
男に掴まれていた子供は、猫族の少年だった。虎模様の耳としっぽのその少年は、シーよりももう少し幼いくらいだから、9、10歳程、だろうか。その少年が縋るような瞳で突如現れたラフィにーちゃを見つめている。
「んだと、てめぇ!!そんなに痛い目みたいようだなっ!!!」
「……さて、痛い目見るのは、どっちだろうな」
ギラリとした瞳で男が少年を突き飛ばして、ラフィにーちゃを睨み付ける。が、ラフィにーちゃはそんな威圧ではびくともしない。
ポーカーフェイスのまま、男を見据えているのだけど、ラフィにーちゃから発せられる殺気にぞくりと背筋が寒くなる。直接向けられている訳じゃないのに、この威圧感だ。
男の方はどれだけの威圧感を感じているのだろうか。
さっきまで威勢はどこへやら。僅かに脂汗を掻きながら、後ずさりした。ラフィにーちゃと男では実力の差がありすぎる。
「……っ、この“呪われた赤き眼の民”め…覚えてろよ」
男は自分が不利である事を悟ったのか、苦虫を噛みつぶしたように顔をしかめると、呪詛を口にするかのような捨てぜりふを吐いて、早々に立ち去っていった。
……呪われた赤き眼の民……その言葉に僅かにラフィにーちゃの顔がしかめられたのを、シーは見てしまった。
やっぱり、自分の外見にコンプレックスを抱いているのだろう。
ぎりっと唇を噛みしめたその様子に胸が痛くなった。
「……大丈夫だったか?」
ラフィにーちゃは少年を気遣うような笑みを浮かべて、男に突き飛ばされた所為でしりもちをついてしまった少年へと手をさしのべる。が、その手は突如響いた乾いた音によって弾かれた。
少年の手が、ラフィにーちゃの手をはたいたのだ。
「…………ぁ……」
咄嗟にはたいてしまったのか、少年は自分の行動にはっとしたような顔になった。どうやら、ラフィにーちゃがアルビノである事に気がついて、怯えたようだ。
……助けて貰っておいて、この仕打ちはないのだ。
ラフィにーちゃははたかれてしまった手を一度だけ見たが、少年を咎めたりはしなかった。
「……まぁ、それだけ元気があれば大丈夫そうだな。夜はちんぴらも多い。気をつけて帰れよ」
そう言って、ラフィにーちゃは僅かに苦笑した笑みを浮かべると、それ以上少年を構うことなく、背を向けて歩き出した。
それに少年は慌てたような顔になって呼び止めようとしたけれど、結局その言葉は喉の奥へとしまわれてしまったようだった。
その様子に、シーの方が怒り出そうとしたけれど、ラフィにーちゃに肩を掴まれて何も言えなかった。
「……待たせて悪かったな。早く宿に行くか」
「…………ラフィにーちゃ……でも……」
「いいから、行くぞ」
さっきとは逆に、手を引かれるような形で無理矢理ラフィにーちゃに連れられて、宿に向かって歩き出す。
先程まで夕暮れに染まっていた街並みに段々と宵闇が近づいている。
もう少しすれば、ここは完全に夜の世界となるだろう。
黙々と歩くラフィにーちゃを見上げたけれど、その顔にはもう、笑みは浮かんでいなかった。
ただ、何の感情も見えない無表情な顔で前だけを見つめていた。
その姿が本当につらくて、じわりと涙が浮かんでくるのに気がついた。
ぐすりと鼻をすすると、それに気がついたのか、ラフィにーちゃが慌てた様子でシーを見下ろした。
「……悪い、痛かったか?」
慌ててぱっと手を離すラフィにーちゃ。どうやら、手荒く手を引いた事でシーが泣いたと思ったみたいなのだ。
困ったような表情でシーを見下ろすラフィにーちゃ。
困らせたい訳じゃないのに、涙が次々とこぼれ落ちていく。それにうううと呻きながら、鼻をすすった。
「……ごめんな?大丈夫か?」
おろおろと、腰を屈めてシーと視線を合わせるラフィにーちゃ。今まで引いていた手を労るようにさすってくれる。だけど、痛いのはそこじゃない。
痛いのは、シーの胸の方なのだ。
「……ひっく、ひっく……ごめ、違う……のだ……ひっく」
しゃくり上げる所為で、言葉がちゃんとしたものにならない。それに僅かに煩わしさを感じながら、なんとか言葉を紡ごうとする。その様子を、ラフィにーちゃが心配げな顔で見つめている。
「……ひっく、だって……ラフィにーちゃ、あの子を……助けたのに……ひっく……あんな風に怖がられて……ひっく……あんまり……なのだ……ひっく」
シーの言葉に、ラフィにーちゃが僅かに目を見開いた。だけど、やがてその表情は苦笑のような笑みに変わり、肩をすくめてシーの頭をぐしぐしと撫でた。
「……良いんだよ、気にしなくて。いつもの事なんだから」
「だけど……だけど……」
「俺は、見返りが欲しくて助けた訳じゃない。ただ、放っておけなかっただけだ。だから、お前がそんなに気にするな。俺は大丈夫だからさ」
ありがとうな。そう小さく続けながらラフィにーちゃが、ポケットから取り出したハンカチでシーの涙を拭ってくれる。そのハンカチを受け取りながら、まだしゃくり上げてはいるけれど、何とか落ち着いてこれた。
ぐすぐすと鼻をすすりながら、ラフィにーちゃを見上げると、ラフィにーちゃは穏やかな顔で笑いかけてくれた。
もしかしたら、シーを気遣って無理に笑ってくれたのかもしれないけれど、その笑顔に少しだけ心の痛みが引いた気がした。
ラフィにーちゃは、どうしてこんなに強いんだろう。
どんな痛い事も、悲しい事も、何でもないと笑っていられるのだろう。
どうして、他の人を気遣って、笑えるのだろう。
……その強さを、羨ましいと思う反面、少しだけ悲しいとも思った。
全てを抱え込んで、いろんな物を背負って、だけどいつか簡単に壊れてしまうのではないだろうか。
たまには弱音を吐いたっていいんだよ。
悲しい事は悲しいんだって、言ってもいいんだよ。
……でも、きっとラフィにーちゃはそう言う事を言わないんだろう。
言わない事が、当たり前になってしまっているのかもしれない。
だからこそ、心配なのだ。
溜め込みすぎて、いつかその重さに押しつぶされてしまわないだろうか、と。
「……落ち着いたか?」
「…………うん……なんとか……」
まだ少し、ぐすぐすと鼻をすすりながら、ラフィにーちゃを見上げると、苦笑混じりの顔でシーを見下ろしていた。
「……早く宿に帰って顔を洗わないとな。結構すごい顔してるぞ、お前」
「あうぅ、あんまり見ないで欲しいのだー」
くすくすと笑いながら、泣きはらした顔を覗き込んでくるラフィにーちゃ。改めて指摘されると恥ずかしいのだ。
「ま、うまいもんでも食えば、元気になるさ。泣かせた詫びも含めて、たっぷり奢ってやるからな」
覚悟しておけよ。そう笑うラフィにーちゃを見上げ、くすりと笑みが浮かんだ。
別にシーが泣いたのはラフィにーちゃの所為じゃないんだけどな。
まぁ、とりあえず宿に帰って顔を洗わないと。
ラフィにーちゃの指摘通り、ひどい顔をしている自覚があるのだ。
「……さぁ、お手をどうぞ。お姫様」
くすくすと、茶化すような色を含んで、ラフィにーちゃがすっと手を差し出してくる。
その手を取ると、まるでエスコートするようにラフィにーちゃが優しく手を引いた。
その手をぎゅっと握り替えせば、それに応えるように優しく握り替えしてくれる。
温かいその手の温度に、心まであったかくなるようだった。
宵闇に包まれた街並みに、ほのかな明かり達が通りを照らし出してくれる。
その中を、並んで宿まで歩いた。
いつもラフィにーちゃには、頼ってばっかだ。
もたれるばかりで、何にも力になれない。
早く力になれるようになりたいと、切に願う。
その為には、早く一人前の冒険者にならなければ。
新たな決意が胸に沸いた事を、ラフィにーちゃは知るよしもない。








「……ですから親分。そいつを捕まえてうっぱらえば、それなりの収入が期待できますぜ」
ここはシー達がいる場所から随分離れた酒場の一角。無法者達の集まる酒場の一角に先程の獅子族の男の姿があった。
獅子族の男は、顔に傷を持つ黒髪の狸族の男に頭を下げている。どうやら、この男が獅子男の親分らしい。
「……まぁ、アルビノは珍しい種族だしな。希少種を求める物好きはどこにでもいるしな」
「でしょう。悪い話ではないと思いますぜ。親分」
「……ああ、確かに悪い話じゃぁないがな……その前に……」
ごますりするように、手をもみながら、親分の顔色を見守る獅子男。獅子男がもたらした情報にはそれなりの価値があった。が、どうもその前の段階が気にくわなかったのか、狸族の男は手に持っていた黒革の鞭をしならせ、獅子男の足先を弾いた。
その鋭い音に身体を震わせて、獅子男は身をすくませた。
「……今度、俺の顔に泥を塗るような真似したら、ただじゃおかねぇからな?」
「はいぃ、それはもう、肝に銘じて……」
狸族の男の殺気を間近で感じ取り、獅子男は背中に冷たい物が走るのを感じた。
慌てて頷くその姿に、僅かに満足したのか、狸族の男はふんぞり返っていたソファーから立ち上がった。
「なら、まずは情報収集だ。他の連中にも声かけとけ。でかい獲物だ。見逃すなよ」
「はい、親分」
狸族の男の言葉に、獅子男は弾かれたように背筋を伸ばし、慌てて命令を実行する為に狸族の男の前から走り去っていった。
それを見送りながら、くくくっと、狸族の男は喉を震わせて笑った。
その瞳に邪悪な輝きを宿らせて、狸族の男は舌なめずりするように唇をなめた。







……先程の男が、こんな復讐を考えていようなどと、シー達は知るよしもなかった。
嵐の前触れのような静けさが、知らず知らずのうちに自分たちを取り巻いていた事に、この時のシー達は気がつかなかったのだった。




スポンサーサイト

<<より高みを目指して | BLOG TOP | いま、狩りにゆきます(ぁ>>

comment


 管理者にだけ表示を許可する
 

trackback





上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。